2019年度全国農業新聞連載「戦略論のウラの裏側」Ⅸ

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★地域リーダーに必須の資質
★「人材育成こそ」を理念に




 幅広い視野と見識、想像力や指導力を持つ人材こそ地域戦略のリーダーにふさわしい――それは大げさに言えば、大国に攻め込まれた弱小国がいかにしてこれに立ち向かい生き抜くのか、そんな戦いを指導するリーダーの才覚――にも通じるものがあるだろう。

 19世紀の戦略家クラウゼヴィッツは、その著書「戦争論」の第一篇・第三章「軍事的天才」で、戦略指導を司るリーダーに必須の資質を、「勇気と知力に満ちた人材であることが絶対条件」とした上で、「勇気と知力」を次のように解説した。
 
 まず、「勇気」とは「肉体的危険に対する勇気」と「精神的(責任)危険に対する勇気」の二つがあり、特に後者の勇気は「愛国心や名誉心に由来」するという。

 一方、「知力」とは理性や感情など精神力の複合性を背景とする「高度な知的能力」であり、要点を書くならば、それは――断片的で不確実な情報氾濫の中にあっても、予期せぬ状況に遭遇しても冷静さを失わない「自制心」、そして全体の真相や未来を一瞬で看破する「眼力」や「想像力」、即断即決できる「決断力」、さらには苦境に陥った際でも重圧に負けず、周囲をいっそう鼓舞する「意志力」や「不屈性」である――という。

 これを地域戦略のリーダーに置き換えるなら、後者の勇気で意味する「責任」とは「地域」に置き換わるし、「愛国心」は「ふるさと愛」になる。
 さらに知力は、これらの指摘がおおよそ当てはまることになるが、果たして、そんな人材が今の農業界にいるのかどうか…。
もちろん、戦争ではないから「そこまで完璧に」とは言わない。ただ、「それに近い人材」は存在する。

 筆者の狭い人脈の中から一人を例を掲げるなら、石川県農業会議の元職員・松本友信氏の推薦で知り得た、「㈱六星」(白山市)の元社長・北村歩氏(77)だ。

 今は高齢で引退したが、40年前にわずか5名で立ち上げた地域組織を紆余曲折ながらも「人材育成こそ地域貢献」を理念に、150名余を抱える地域農産企業に育てたリーダーである。

 こうした例が全国的にも極めて少ないのは、北村氏の存在がそれだけ「稀有」だったことを示すが、農業人口が激減する今後、そんな人材を農業界に求めるのはますます難しいだろう。

 ならば、地域の産業界にも広く目を向けて、理にかなった人材を発掘することも躊躇すべきではない。なぜならば、地域戦略の最終的な成否とは結局、「リーダーの才覚」いかんですべてが決するからである。


2019年度上州アグリ100年ブランド協議会主催の講演会で。左が北村歩氏、右は松本友信氏。
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