2019年度全国農業新聞連載「戦略論の裏の裏側」Ⅴ

2019度連載用ロゴアウトライン.jpg


★才覚とは無縁のトップ選出
★責任取らず居座る階層体質



 農業界では、創設する組織のトップを選ぶ際、本人の能力や見識よりも、「年功序列」や「先任制」のような発想から、年齢や経験の多さだけで選出されるようなケースが極めて多い。

 農村社会の閉鎖性も手伝って、「我こそは」と立候補する者もいないから、いや応なしにそうなることが多いのはわかる…のだが、仮に、次代のリーダーにふさわしい優秀な若き人材が構成員の中に存在したとしても、平等意識と唯我独尊が働いて、その力量を認めないし、認め合おうとはしないのが実情であろう。

 ゆえに、もっとも無難な年功序列や先任制――要するに誰からも文句が出ないよう、年齢や経験の多さだけで人選する慣習が暗黙の了解として連綿と続く。

 だが、年功序列や先任制が通用するのは「平事」だけで、曲がりなりにも地域戦略が必要になるのは激変する環境の中で地域農業の存在そのものが問われる、まさに「有事」の時なのだ。
 そして、その地域戦略とは、この「有事」にどう対処し、地域の弱小農家はどう生き残っていくべきなのか――その方策を描く長期ビジョンなのである。

 年功序列や先任制のようなトップの選出では、選ばれたトップ自身に、トップとしての才覚――たとえば、激変する「有事」を的確に分析し、未来を戦略的にイマジネーションする能力や見識――が、真にあるのかどうかは極めて疑わしい。

 むしろ年齢や経験の多さが邪魔をして、「平時」だった過去の成功体験に囚われ、時代錯誤の指示をくり返し、戦略そのものが頓挫する結果にもなりかねない。

 加えて、こうしたトップには「全員の評決で選ばれただけだから」という言い訳がつきまとい、「組織の全責任を負う」という自覚もないから、仮に組織が動かずとも、作戦で失敗が生じようとも一切責任取ることなく、その後もトップの座に座り続ける…という階層体質がまかり通る。

 ――さて、前回と今回とで「農業界独特の平等意識」が組織編成でいかなる弊害を生み出すか理解していただけたかと思うが、それにしても、こうした意識や慣習の元をたどれば、それは農協の組合法に行きつくのでは…とも推測するが、ともあれ、こうした平等意識や慣習を一掃しない限り、戦略の組織編制など、土台、無理な話だろう。

 組織編成する際には、構成員の全員が、まずは「組織とは何か」「階層性とは何か」「役割と任務とは何か」「真のリーダーとは何か」を共通認識としてしっかり学ぶこと――それが第一歩であると断言するしかない。
(つづく)






ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント