2018年度全国農業新聞連載Ⅹ 上州アグリ100年ブランド戦略

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★ブランド・テロワール戦略
★農商工観光連携の地域経済



 「まずは足元から地盤を固める」とは、当方が提唱する戦略論「本丸・出城・遠征」にも通じるが、これは欧州で今も延々と受け継がれるテロワール的な概念にもよく似ている。

 ウィキペディアによればテロワールとは――土地を意味するフランス語に由来する言葉で、ワインやコーヒーの品種における生育地の地理や気候の特徴を指し(中略)、日本語では「生育環境」とでも訳す――と紹介されているが、この際、筆者の独断的な解釈も多少加えて説明すると、次のようになるだろう。

 「…その土地にはその土地に適合した生体が存在する。それらを守り、活用してこそ最高のモノが生まれる。ワインなら、そこに育つブドウの伝来品種、古来ある土壌菌や醸造菌、近隣の山のオーク材で作った樽で貯蔵することだ…」

 「…そのワインにマッチするのは、同じ土地と環境に育まれた食材であり、これらを共に食することで最高の食文化が生まれる…」

 「…ここで言う土地の広さとは、一人の農夫が1日の農作業で往復できる範囲(徒歩で半径15km程度のエリア)で、この中で暮らしの営みが完結できる生活こそが、至高の暮らしであり、そこに住む人々の誇りであり財産である…」

 要するに、地域は地域らしい環境で原材料を育み、地域の知恵と技でモノを作り暮らしを営み、そこに築かれる産業と文化こそを「地域の誇り」として周囲にも発信し、観光客を呼び込み、いっそうの豊かさを築いていく…今の言葉で言うなら「農商工観光連携の地域経済」であろう。

 かつては日本の地方にもそうした概念は存在したはずだ。しかし、官・民揃って効率化を追求するあまり、いつしか地域は地域らしさを見失い、産業は「縦割り」のまま、見るも無残な姿に変貌しようとしている。それは群馬県内の各地域も例外ではない。 
 
 ゆえに、今の群馬に一石を投じたいと発足したのが「上州アグリ100年ブランド協議会」(奈良哲男会長)であり、それは「ブランド・テロワール」とも呼べそうな戦略目標を掲げた団体でもあった。

 もちろん同協議会による非力な活動ごときで、地域の産業人が一致団結して、すぐにでも「農商工観光連携による地域活性化」への機運が高まる……などとは夢にも思ってはいない。

 ただ、たとえ非力でも群馬には「地域らしさを取り戻そう」という微かな灯火がこの時代にあったという確かな歴史――それを刻み残したいという願いを秘めての目標設定であった――ことも、また事実である。(完)


追記

■今回、全国農業新聞群馬版に連載してきた「上州アグリ100年ブランド戦略」は、2018年度の「地方連載部門優秀賞」に選ばれました。
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