高木響正の戦略的提言

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zoom RSS 2016年度全国農業新聞連載「地域農業のプル戦略」No.10

<<   作成日時 : 2017/05/11 19:17  

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★セルフ式カフェに高級メニュー?
★情報戦・総力戦の時代だからこそ




 筆者が最後の善処策として提案した二つの戦術で、一つ目とは品揃えに関わる戦術だった。
 出荷希望者を対象に年間出荷の予定品目・量を事前調査すれば、平日地元客向けに必要な品目の有無や、商品棚を年間埋めるに足りる出荷量の増減はおおよそ把握できることになる。
 また、そのデータを元にすれば、たとえ「開業まで1年間」とは言え、不足する品目や出荷量を確保するための営農指導が、関係機関の支援で多少なりとも実行できたはず、だった。
 だが、運営会社が実行したのは調査だけで、営農指導は「他人事」だった。スーパー出身の店長が「不足する品目は地元市場から仕入れれば良い」と決めつけていたことが原因だった。

 二つ目の戦術は、出荷品の残品を惣菜・飲食に活用するという「出荷食材のライン化」であった。
 だが、運営会社では厨房担当にホテル経験のプロ調理師を独断採用。メニューの考案や仕入れ先はそのプロ調理師に「丸投げ」してしまった。結果、惣菜メニューには地元町民が知らないような、高級ホテル風のデリカばかりが並ぶことになった。
 飲食メニューもセルフ式カフェなのに価格帯で900〜1,500円の料理が並び、しかも、それらの食材は地元の農産物とは無関係に、別途で専門業者から仕入れるような有様だった。
こうして開業したのがB町の拠点施設だったが、すでに結果は明らかだった。

 陳列された商品は半分近くが市場からの仕入品。これでは周辺のスーパーと変わらず、地場産品を求める来店客の失笑を買った。
 高級な惣菜も平日の地元客には馴染まず、飲食メニューもセルフ式カフェなのにホテル並みの高価格で、客は戸惑うばかりだった。だいいち食材仕入れが出荷品と無関係では、厨房を併設した意味がない。

 案の定、最初の1か月は開店人気で賑わったが、それ以降は赤字に転落。「第一段階作戦」の集大成になるはずだった拠点施設の運営は、地域の活性化に貢献するどころか、町が赤字を毎月補填せざるを得ない「お荷物」へと変貌した。

 そんな結果を招いた失敗要因はいくつも掲げられる。……不首尾に終わった「前段作戦」、戦略・作戦を共有せずに推進した施設整備や運営会社の設立、産直・飲食の運営に関しては素人同然の役員構成、最後の善処策だった戦術さえ「他人事」で終わらせた現場……。

 だが、それらを総じて言うなら結局は「ソフト軽視」――地域農業も情報戦・総力戦の時代だからこそ重視すべき「戦略・作戦・戦術」を顧みず、一から十まで場当たり的にコトを進めてしまったこと――それがすべての失敗の根幹であったと断言せざるを得ない。(完)


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