高木響正の戦略的提言

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zoom RSS 「雪ほたか」名称決定に至る事実経過と、「村の公式発表」の矛盾

<<   作成日時 : 2016/05/07 16:34   >>

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■担当者(前・田園整備課長)が前橋事務所を訪ねて
 全国農業新聞群馬版連載の「ブランド真or贋」(2016年4月10日付)の「雪ほたか」のネーミングに関し、「筆者が考案した名称」と断定した部分を読んで、「詳細はブログ参照」という但し書きに、ついついこのブログを開いてしまったという読者――あるいは、「そんなはずはない」と思う読者も含めて――そんな読者には、以下、群馬県川場村のブランド米「雪ほたか」というネーミング(固有名称)が決定されるまでの事実経過を詳細に知らせることにしたい。これは、筆者の名誉のためでもある。


 筆者が川場村の地場産米ブランド化に関わり始めたのは、それ以前から関わっていた石川県羽咋市「神子原米」がいよいよデビューしようという頃だった。
 当時、川場村の田園整備課でも地域農業活性化を模索中であったため、群馬県農業会議の専門家派遣事業で数回、同村を訪れ、その都度に開催された講演会で、地域農業戦略的な視点から以下をアドバイスしたことは、連載「ブランド真or贋」にも書いた通りである。
@非力な村で、村域全体の農業活性化を同時進行で目論むのは不可能
Aそこで村域をあえて「米地帯」「果樹地帯」「野菜地帯」に区分
Bこの区分が順次、連鎖反応していくような地域農業活性化の作戦を立案
Cその突破口地区となるのが「米地区」→コメのブランド化を第一歩として推進(その当時、魚沼産コシヒカリ偽装が流布されていた時流をとらえて)

 そしてもう一つ、加えたアドバイスが、ネーミングの件だった。ブランド化には、それなりのネーミング(固有名称)が必要であり、また、これが重要なファクターにもなる。
 しかし、素人が発案するのはなかなか難しい。そこで、「村内への広報」も兼ねた一挙両得のネーミング手法として、アドバイスしたのが「村民からのネーミング公募」による選定だった。

 だが――その後、群馬県農業会議による同村への派遣事業機会もなくなり、筆者と川場村との関係は途切れた。ゆえに、同村が村民に対してどのようなネーミングの公募方法を取ったのか、筆者は知らないままとなってしまった(実際、石川県への出張が多くなり、群馬にも居られなかった)。

 ただ、結果として応募された名称の中に、「これは」と思うネーミングがなかったようで、2005年春に至ってから、当方の前橋事務所(当時)に、突然、しかも唐突に訪ねてきたのが、当時の担当者であった係長・宮田重雄氏(前・田園整備課長)である。

 その際に宮田氏から受けた相談は、以下の二件。
 一件目は「地場産米をペットボトルにいれて売り出したらどうだろうか」(見本を持参)、そして二件目が「名称を村民から公募したが、どれを選んで良いのか、わからないのだが…」(応募の一覧表を持参)という内容だった。
 その際、一件目のペットボトル企画案はその場で却下したのであるが、二件目の名称については――応募一覧表を見せてもらったものの、決定的な案がなく、逆に、その場で、当方から一例として示したのが「雪ほたか」というネーミングであった。

 ただし、なぜ「雪ほたか」になるのか――という説明に関しては、宮田氏のようなド素人に詳細を語っても難しいだろうと考え、第三者にも理解しやすいよう、「(公募の一覧表に比較的多かった)『武尊山の〜○○○』と『○○○〜の雪』のような言葉を組み合わせるなら、『雪ほたか』のようになるのでは…」と単純に説明しておいた。
 
 それを鵜呑みにして宮田氏は川場村に帰ったのだが、どうしたものか、その日以降、宮田氏からはいっさいの連絡なく、また、村に帰ってから課内にどう報告したのか、どう説明したのか、当方にはまったく不明のままとなった。ゆえに、「雪ほたか」という案もボツになったのだろうと思い込んでいた。

■筆者には何一つ報告ないまま、商標登録
 ところが、それから2年も過ぎてのち――別件で群馬県農業会議主催の視察研修会が同村で開催され、それに筆者も参加した際であった。
 当時の関清村長に会うと、村長曰く――「先生からの提案名称で登録も取れました」「決めてくれてありがとうございました」。
 そこで初めて、「雪ほたか」というネーミング案は、そのまま活用され、しかも無断で登録されていたことを知った次第である。

 筆者が宮田氏に「雪ほたか」を提案した後、どのような経緯であったのかは、そのあとで調べたことであるが、おおよそ以下のとおりである。

@宮田氏は、筆者から聞きた「『武尊山の〜○○○』と『○○○〜の雪』の言葉を組み合わせたらどうか」の旨を課内に報告(その際に「雪ほたか」のネーミングまで報告したかは不明)。
Aその後、同村では田園整備課及び村内要人による「ネーミング選定会議」が開かれるようになり、いつの間にか「雪ほたか」というネーミングも候補案として浮上していた。
Cだが、「雪ほたか」というネーミングについては、会議の参画者からは「過去に『武尊山の○○』という名前をつけた商品開発は再三行われてきたが、ヒットした試しがない」との理由で反対され続けてきた。
Dしかし、ずるずるとその年の秋の米収穫時期になり、ネーミング決定時期にも至ってしまったため、「やむなし」と選定されたのが「雪ほたか」というネーミングであり、これが商標登録願として提出され、登録された。
E「村民からのネーミング公募」には「採用者に賞品贈呈」という条件が付いていたのだが、村民に「雪ほたか」を提案した者はいないため、田園整備課が賞品を贈呈したのは、「武尊の雪代米」と「ほたかゆきひかり」を応募した二名であった。(末尾の注1参照)


 さて――ここで問題となるのは、「雪ほたか」という固有名称が、本当に筆者の考案によって生まれたものであるかという点だが、10年近くが過ぎた今日、宮田重雄氏は以下のように語っている。
★宮田氏発言――「前橋の事務所まで相談に行ったのは確かだが、覚えているのは『二つの言葉を組み合わせたらどうか』というアドバイスがあったことだけで、『雪ほたか』という名前までその場で示されたかどうかは覚えていない」
★宮田氏発言――「役場に帰ってから当時の担当課長にも、(当方から提案されたように) 『二つの言葉を組み合わせたらどうか』と言われてきた、と報告したように思うが、その際に『雪ほたか』というネーミングまで出したかかどうかも覚えてない」
★宮田氏発言――「しかし、それからしばらくたっても名称がなかなか決まらず、そのうちに当時の担当課長も――『雪ほたか』でいいんじゃぁねぇか――と言い出したので商標登録願を提出した」
★宮田氏発言――「(使用権や商標登録等について当方に連絡することは)まったく思いつかなかったし、必要だとも思わなかった」
※この件については当時の担当課長も、当方に「すでに『雪ほたか』という名称は候補に上がっていた」と語っている。しかし、誰の考案であったかは言及していない。

■筆者が考案者である理由と「矛盾」
 こうした宮田重雄氏の現在の発言を根底にして、当時の経緯を考察すると、筆者からの提案とは「応募にあった二つの言葉を組み合わせたらどうか」という部分だけに留まることとなるが、その経緯を詳細に検証していくならば、いくつもの「矛盾」が浮上するのは明らかである。

T.「組み合わせ発想」だけでは完成しない「雪ほたか」
 「雪ほたか」という名称は、一見単純に「二つの言葉を組み合わせ」で構成されているように受け止められるが、「組み合わせ発想」だけなら、「武尊山の雪」もしくは「雪の武尊山」程度の名称に留まることになる。
 さらに、この「組み合わせ発想」だけで考案した場合――「米」は商品であり「眼前のミクロ的情景」であるため、「雪の武尊山」という「壮大なマクロ的情景」とはマッチしないことから、常識的に考えれば、「武尊山の雪」という名称に行きつく――これが妥当な案になってしまう。

 では、それが、いつ、どのように「雪ほたか」という名称に変化したのか――。
 筆者が「雪ほたか」を宮田氏に示した際、「二つの言葉を組み合わせる」と単純化して説明したのは、「ド素人にも分かりやすいように」という配慮から「そのように言った」までのことで、実際には、その裏にいくつかの、筆者にしか説明し得ないネーミングの原則や技法、思想が秘められている。
 それらの原則や技法を重ね、最終的に構成されるのが「雪ほたか」という固有名称であり、この原則や技法、思想については、どういう順序で重ね合わせたら「雪ほたか」に行きつくのか、今日に至っても筆者はこれを論理的に説明することができる。

 仮に、宮田氏の言葉を信じて、筆者が果たした役割は単に「二つの言葉を組み合わせる」だけであった――とするならば、宮田氏本人、あるいは役場内関係者、あるいは村民の誰かが考案したことになるが、しかし、その場合においては、その誰かが「どのような技法を凝らしたら『雪ほたか』というカタチが構成されるか」――を自ら 説明することが必要条件になるだろう。
 逆に、考案したという者が説明できないとすれば――それは、とりもなおさず、「村内に考案者はいなかった」ことを証明することになる。

U.「候補名にあった」のに「二人に賞品贈呈」した矛盾
 仮に、宮田氏が語る「…当時の担当課長も――「雪ほたか」でいいんじゃぁねぇか――と言い出したので (商標登録願を提出した)…」、あるいは、当時の担当課長の語る「すでに候補名として上がっていた」という言い分が正しいとするなら、どの段階で「『雪ほたか』いう名称を、誰が、いつ考案して、候補案に上げたのか」、それを明らかにすることが必要だ。

 宮田氏が筆者の事務所に訪れたのは2005年春だが、その際、筆者が確認した村民公募の応募案一覧表に、「雪ほたか」という名称案は存在しなかった。
 その点から言えば、「雪ほたか」の名称が浮上したのは、否応なし、宮田氏が役場に帰った後の2005年春から同年秋までの「半年間」に、誰か(仮にX氏とする)が候補名として考案し、同村はそれを採用した――ということになるのだが、結果としてネーミング公募で賞品を贈呈したのは、「武尊の雪代米」と「ほたかゆきひかり」を応募した二名だった。

 もしも、2005年春から同年秋までの間に、X氏が考案して「雪ほたか」を応募したのであれば、そのX氏にこそ「考案者1名」として賞品が授与されるべきであり、ここに矛盾が生じる。
 それは裏を返せば、名称決定する際になっても、X氏という考案者は存在せず、便宜的に「武尊の雪代米」と「ほたかゆきひかり」を応募した二人に賞品を贈呈せざるを得なかったことを証明している。

 さらに――穿った見方をするなら、宮田氏は当方から「雪ほたか」を聞き出したものの、課内に帰ってからは「二つの言葉を合わせたらどうか――と(当方に)言われた」という部分のみを課内報告し、その後、時間差を経てから宮田氏が「雪ほたか」を候補の一つとして滑り込ませた――そのような「推理」さえ成り立つ。
 また、そのように「推理」するならば、宮田氏が言う「…しばらくしてから当時の担当課長も――『雪ほたか』でいいんじゃぁねぇか――と言うようになったので」という経過とも辻褄が合うことになろう。

V.宮田氏が語る経緯と、当時の関村長対応との矛盾
★宮田氏証言=「…(当方から提案されたのは)二つの言葉を合わせるということだけしか覚えていない…」
★当時担当課長証言=「すでに『雪ほたか』という名称は候補に上がっていた」
★宮田氏証言=「…村民からの公募に対しては、便宜的に応募の中から『武尊山の〜○○○』と『○○○〜の雪』を応募した二人に賞品を贈呈した…」

 この三つの証言を並べると、当時の関村長が当方に「名称を決めていただいてありがとう」と感謝を述べ、その後も周囲に「(当方が)名称を作ってくれた人」と紹介している事実とも矛盾してくる。
 「すでに候補として上がっていた」ならば、村長はその考案者X氏を称え、周囲にもそのように語るべきだろう。逆に、賞品授与された二人が名称決定の功労者なら、村長はその二人を称え、その二人の名を周囲に語るべきだろう。

 つまり、どっちに転んでも、当時の関村長の当方に対する謝辞や対応は「まったくのお門違い」になってしまう。
……あるいは、百歩譲って――当時の関村長は、宮田氏から(課内経由も含む)「(当方の)『二つの言葉を合わせる』という提案によって最終案が決定した」という報告を受けたのみであり、一方、関村長も「二つの言葉を合わせる」という当方の提案事項のみに対して感謝の意を述べた――という解釈が正しいと仮定してもいい。

 しかし、例えそれが真実であったとしても、「雪ほたか」の名称は「二つの言葉を合わせる」という宮田氏への筆者説明が起点になったことに変わりはなく、それは結果として、筆者が「名称決定を左右する最大かつ重要なヒントを提供した」ことを意味することになる。
 ゆえに、当方の事務所に突然訪れ、無償で名称案を聞き出した宮田氏は、名称選定の経過や選定、さらには商標登録願提出に至るまで、ヒントを提供した当方に報告するのが「公務員としての責務」「常識人としての義務」とも指摘できる。

 しかし、残念ながら宮田氏からは、その後、いっさいの連絡も報告もなかった。さらには、当時の関村長の言葉から当方がようやくその使用や商標登録を知るに及んだ以後でも、そして今日に至るまでにも、宮田氏から謝罪の言葉ひとつないのが実情である。

■注@
「広報かわば」No.361号には「川場産米の名前が決定しました 命名・雪ほたか」というタイトルで、以下のような記事が掲載されている。

 「――広報等で川場産こしひかりの名前を募集してまいりましたが、決定されましたので報告いたします。霊峰武尊山より湧出する天然水と豊かな自然の恩恵により育まれた川場村産こしひかりの白さを雪により表現した名前です。応募総数77点より名付け親として候補に上がった作品は、天神・松井さい子さんの「武尊の雪代米」と、門前・繻エ文子さんの「ほたかゆきひかり」でした。この2作品を、専門家に依頼して切り張り法により命名したわけですが、この間、専門委員による命名会議や、消費者等のアンケートを実施し最終的に決定しました。今後は消費者へのコマーシャルを行うと同時に試食など販売促進も展開する予定です――」

 この文中には「武尊の雪代米」と「ほたかゆきひかり」を基として切り張り(貼り)法を施したように書かれているが、この二案だけでなく、当時の公募一覧表には『武尊山の〜○○○』『○○○〜の雪』とした案が比較的多かった。
 また、本文に示したように、「雪ほたか」は切り貼り法(組み合わせ発想)という単純な思考回路では構成できない。正確を期すなら、「武尊の雪代米」「ほたかゆきひかり」とはまったく次元を異にした、独自の考案である。
 さらに「専門家に依頼」とあるが、実際には宮田氏が勝手に当方事務所を訪れて当方案を一方的に聞き出して帰っただけのことであり、宮田氏から「専門家に依頼」された覚えもない。加えて「専門委員の命名会議」に呼ばれた覚えもない。したがって、広報そのものが欺瞞に満ちていると言っても過言にはならないだろう。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
高野誠鮮さんより、高木響正さんというとんでもなく凄い人がいると教えていただき、こちらにたどり着きました。これから勉強させてください。ご講演も機会があれば、参加させていただきたいと考えております。@所沢市
猫男
2016/07/21 23:17
猫男さまへ
高野鮮誠さんに比べれば、僕なんか、ゴミみたいなもんですよ〜(苦笑)。
kyohsei takagi
2016/07/22 22:23
あの高野さんが推薦されるってことはやはりただ者ではないと思いますよ。職員研修担当としますと、是非一度、自腹切ってでもご講演を拝聴したいと思っております。@所沢
猫男
2016/08/02 21:30
猫男さまへ
お褒めの言葉、ありがとうございます。まあ、講演云々はともかく、今年度月1回のブログ「地域農業のプル戦略」連載を、ぜひご笑覧いただければ幸いです。
kyohsei takagi
2016/08/03 20:47

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